配信日:2022年7月31日
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こんにちは。
前回、FRBについての説明、役割。そしてインフレ時(まさに今)、物価の安定のため「利上げ」を実施する事をご説明しました。
そこで、今回は、
・なぜインフレ退治に、利上げが効果的なのか?
そして、
・利上げをすると、なぜ、株価が下がるのか?ご説明しますね
1、なぜインフレ退治に、利上げが効果的なのか?
FRB(
中央銀行)の「利上げ」「利下げ」というのは銀行同士がお金を貸し借りする短期金利の上げ下げを意味します。
中央銀行が日々、資金を供給したり、吸収したりして、銀行間で取引している金利を誘導するのです。これが、中央銀行が銀行の親玉(笑)と言われる理由です。
この銀行間の金利が様々な金利(住宅ローンやオートローン、企業への融資金利など)に影響を与え銀行間の金利が上がれば(利上げ)、基本的に他の金利も上昇する傾向にあります。
それゆえ、中央銀行が利上げすれば住宅ローン金利や企業の借入金利も上がります。金利が上がれば、個人は家を買いにくくなりますし、企業は借入による新たな攻めの経営に出づらくなり
経済活動が弱くなります。
経済が弱まると、財布のヒモが硬くなりモノやサービスを買おうとする人が減り物価が下がっていきます。
つまり、物価の上昇(インフレ)を抑える効果があるわけです。インフレを抑える事で、FRB(中央銀行)の目的である「物価の安定」が達成できるというシナリオです。
※なぜ「物価の安定」が必要なのかについては、前回のメルマガをご覧ください。
2、利上げをすると、なぜ、株価が下がるのか?
ただ、やっかいな問題ががあります。
さきほど説明したように利上げは、経済を冷やす効果があるので、景気に逆風となります。インフレ退治には利上げが必要ですが、利上げが続くとモノやサービスが購入されなくなり、企業業績の悪化。つまり不況になっちゃうわけです。株価は、将来の企業利益を見越して上がったり下がったりするので、
利上げ→売上減→利益減
となれば、当然、株価は下がっていきます。これが、アメリカを中心とした世界の株価低迷の大きな理由です。
株価が下がるような事を、わざわやるなんてFRBも余計な事をするなあ。と思われた方。僕もそう思います笑
でも仕方ないんです。
FRBの使命は「物価の安定」であり、「株価を上げる」事ではないので。。。そうは言っても、FRBもインフレ退治のためとはいえ、景気を冷やしたり株価下落を黙ってみているわけにもいきません。
なぜなら、FRBには「物価の安定」に並ぶもう一つの使命「雇用の最大化」があるからです。「雇用の最大化」=「失業率の低下の維持」と考えてください。
つまり、利上げにより景気の減退→インフレ退治に成功した代償として、不況になり、失業率が上昇したら、もう一つの使命「雇用の最大化」に反してしまう事になります。
利上げにより、インフレ退治はようやくゴールが見え始めてまいりました。その一方で、アメリカの景気減速の声も出始め、今後、失業率が上昇する可能性を示唆する専門家の声も増えてきました。
FRBは、インフレ退治の継続と雇用の最大化の両方に目配りしながら、相反する政策をバランス良くやっていく必要があります。
もし、このままインフレ退治をしながら、景気の不況までいかず減速にとどめ株価も復活、雇用も安定させることに成功したら。。。FRBのパウエル議長の名前は、歴史に名前を残すと思います!
それぐらい難しい舵取りを今、FRBはやっているって事なんですね(⌒-⌒; )